還暦といえば60歳のお祝いです。還暦とは「元の暦に還る」の意味で、「元の暦」というのは「自分の生まれた年の干支(えと)」のこと。つまり「還暦=自分が生まれたときの干支に還る」ということです。
ここでいう「干支」を「十二支(じゅうにし)」と混同している人も多いとおもいます。「干支」と聞くと「子・牛・寅・卯・・・・」の12種類を思い浮かべますが、これらは「十二支」といいます。この「十二支」に「十干(じっかん)」を組み合わせたものが「干支」です。「十干」というとあまり馴染みがない言葉ですが、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」といえば聞き覚えのある人も多いと思います。この「十二支」と「十干」の組み合わせはぜんぶで60通りあります。60歳の「干支」は生まれた年の「干支」と同じになることから、「生まれたときの暦に還る=還暦」と呼ばれるようになったそうです。
還暦のお祝いに、赤いちゃんちゃんこを着るのは、赤い色には魔除けの力があるとされ、赤ん坊には赤い産着を着させる習慣があったからで、還暦は生まれた年の暦に還るため、「赤ちゃんに戻る」と考えられることから、還暦祝いに赤いちゃんちゃんこを着るようになったようです。
この干支は身近なところでも使われていて、高校野球のメッカの甲子園も、1924年に完成したことで、その年の「十干」と「十二支」が「甲」と「子」だったことから甲子園と名付けられたそうです。
また、出生数にも影響していて、1966年生まれの出生数が極端に少なかったのは、「丙午(ひのえうま)生まれの女の人は、気性が荒く、夫を不幸にする」という言い伝えによるもので、「八百屋お七の放火事件」に由来しているようです。(定かでは有りません)
昔は寿命が短かったため、還暦といえば長寿に値しました。現在では、寿命も延び、100歳を迎える人も珍しくなくなりました。還暦以降の長寿祝いは11種類あります。順に、緑寿(ろくじゅ)、古希(こき)、喜寿(きじゅ)、傘寿(さんじゅ)、米寿(べいじゅ)、卒寿(そつじゅ)、白寿(はくじゅ)、百寿(ひゃくじゅ、ももじゅ)、茶寿(ちゃじゅ)、皇寿(こうじゅ)、大還暦(だいかんれき)と続きます。最後の大還暦はある一人の方の長寿を称えるために作られた造語が定着したとされていますが、誰でしょう。(せ)