当たり前のように思われる方も多いと思いますが、生命保険は金融商品です。そこで、生命保険を検討する場合、他の金融商品と比較して考えることも必要です。では、生命保険の金融商品としての特徴は何でしょうか?少し、考えてみたいと思います。
生命保険の金融商品としての第一の特徴は保障があるということです。保障の内容は様々です。死亡保障から入院した場合の入院保障、がんになってしまった時の保障、介護状態になってしまった場合の介護保障、仕事が出来なくなってしまった場合の就業不能保障などです。この保障の内容によって、いわゆる生命保険、医療保険、がん保険、介護保険などの商品が開発されています。また、特約(オプション)という形で主契約(主に死亡保障)に付加されている場合もあります。ほかの金融商品でこのような保障を備えているものは、この生命保険と損害保険以外ありません
第二の特徴は長期の積立に適しているということです。保険商品自体がおおむね長期の契約期間になりますので、保険会社はもともと長期の運用を得意としています。また、契約をされる方(契約者)にしても個人の場合、その人のライフプランをもとに生命保険を検討されるので短期では解約しづらいという事情もあります。気が付いたらお金が溜まっていたという結果になりやすく、本当に積立に向いています。同じ保険でも損害保険にはこの機能はほとんどありません。最近では、積立NISAやidecoのように制度として証券市場に積立てる仕組みも人気があります。これらと比較すると、生命保険は掛け金の引落しが一定期間できないと失効してしまったり、保険会社から連絡が必ず入るという制度上の特徴があります。また、早期に解約すると支払った保険料より少ない解約金しか戻らないことが多いので、強制力が働き長続きしやすいというメリットもあります。さらに、金融機関(証券会社や保険会社、代理店など)の担当者がついた場合、証券系の担当者は売り買いの手数料を収益源としている場合が多いので、途中で売り買いを勧められ、結果として長く続かない場合が少なくありません。逆に保険会社の担当者は短期での解約は困りますので、契約は長く続けやすい環境があると思います。
この2つの特徴(保障と積立機能)の組み合わせですべての保険商品が成り立っています。最も保障に特化しているのが定期保険で、10年、15年といった決まった期間の保障をなるべく少ない負担(保険料)で持つには適しています。ただし、定期保険に積立機能はほとんどありません。解約金も少額の場合が多く満期金もないため、最後は掛け捨てになります。一般的な医療保険やがん保険も保障機能に特化しています。保険の期間は終身タイプでも解約金はなく、積立機能のないものが主流です。逆に最も積立に特化しているのは年金保険や一時払いの終身保険で、ほとんど保障機能を持たず積立(運用)機能がメインの商品です。いずれも、保険料控除で所得税が減税されたり、保険金(相続税の非課税枠)や給付金(被保険者が受け取る場合)が非課税で受け取れたり、満期金が一時所得の扱いになったりと税制上のメリットもあります。
生命保険を考える場合、保障が必要な前提が多いのですが、保障と積立のバランスをどう考えるかが重要です。それによって、保険の種類が決まります。保険は掛け捨てで、積立は投資信託をすすめるFPもいますが、その考えはやや極端ではないかと思います。保障には、明らかに終身保障で持った方が良いものもあります。すべてを掛け捨て(定期保険)というのはどうかと思います。逆になんでも生命保険が一番とも思いません。要はご自身の経済的状況、価値観、ライフプランをどのように考えているか、ということとご加入の生命保険商品の特徴が合っているかどうかが問題なのです。たまには、こんなことを真剣に考えてみるのもいかがですか?そして、そんな時はぜひ弊社FPまでご相談ください。きっとお役に立てることと思います。(み)